日常生活では様々な物を掴んだり持ったりしますが、じつはこの動作、ちょっと意識を変えるだけで非常に優れたトレーニングになります。
野球は手に持っている道具へ自分で生み出したエネルギーを効率よく伝えることが重要で、その優劣がパフォーマンスへ直結します。したがって道具に対して決して反発せず「素直になること」が求められるわけです。
しかし、面白い事にほとんどの選手はバットやグローブ、ボールを掴んだ瞬間「余計な力み」というのが必ず生まれます。
←バット中心操は限りなく力を抜いてこそ見えてくる世界がある
これを改善するためには日常生活のあらゆる物を必要最低限の力で掴み、持ち、操作することを心掛けるといいでしょう。無意識にできるようになれば野球のプレーでも必ず活きてきます。
たとえば、鉛筆やお箸の操作、雑巾がけやほうき、机を運んだり水の入ったバケツを持ったり・・・『これ以上力を抜いたら手からズレて落ちるな』というラインを常に感じ取ること。
よく一流のピッチャーは「0からリリースで100の力」と表現しますがこの0という感覚を覚える練習にもってこいです。(※0というのは完全に脱力することではなく、その動作において必要最低限の力のことを指します。)
センスのある動きには動的なバランスを向上させることが効果的ですが、そのためには高重心でのボディバランスが必要不可欠です。
一昔前は重心を低くしてどっしり構え下半身を安定させることが良いとされてきましたが、より繊細な動きが求められる現代野球では、高・低重心の両方を場面によって使い分けすることが求められます。
カギとなるのが股関節周辺の柔らかさと仙腸関節への意識。壁を使って股関節間で重心を感じ取るセンストレはお勧め。
仙骨を意識しながら体軸を操作していくことに慣れるためにも、ダッシュ前に軸の前傾を数回入れたり、ボールを拾う時に骨盤から倒すという努力も忘れずに!あらゆる動作で腰の位置が気持ち高くなってくるとプレーがしなやかになる。
近年、体幹を鍛えるとプレーが安定するというのが主流ですが、腹筋や背筋をトレーニングするほかにも「複雑な動きが出来る身体」を支えるために深層部位を使えるようにすることも大切です。
脊柱、肋骨、胸肋軟骨の柔らかさは大人になるにつれ失われやすくなるため、小学生の内からしっかりとケアしておくといいでしょう。
たとえば、何か動作を行う時には手足を先に反応させるのではなく、体幹から動かすように心がけるのも良い方法です。イタチは体幹部の使い方が非常に柔らかいので、小学生は具体的に野球の動きで説明するよりもイメージしやすいかもしれません。
超高速で移動するイタチは手足よりも体幹が先に反応する
脊柱を中心に体幹を柔らかく使うことを意識していると、ボールに対しての反射速度が非常に高まり、一歩目の動き出しや球際の強さを発揮したりします。それは“体幹部よりも四肢が先に反応することに慣れてしまっているセンスの無い選手の動き”では想像できないほどのものです。
日常生活や友人との遊びの中でも鍛える事はできますから、ぜひ野生のイタチ並みの体幹部をマスターしてみてください!